日本語教師の部屋【第1話】「それは『誤用』と言います」
「日本語教師の部屋」
目次
第一話「それは『誤用(ごよう)』と言います」
こんにちは。ヒロさんです。
「日本語教師の部屋」にようこそいらっしゃいいました。
世のなかって、わからないものですね。ひょんな展開からブログに別カテゴリーができてしまいました。
今回は、「日本語または国語文法」の話も書く事になるので敬遠されるかもしれませんが、
「外国人の良くある日本語間違いアルアル」みたいな感じだと思って読んでみてください。
外国人の人の話す日本語って特徴がありますよね。
その特徴というのは実は「正しくない日本語」であり、「誤用(ごよう)」と言います。
「外国の人が一生懸命日本語話しているのに『間違いだ』なんて言わなくてもいいのに」と言うご意見は、ごもっともだと思います。
でも、その日本語を話している外国人が「なぜ日本語を話すことができるのか」と言うと、その人達が日本語を「勉強している」からなんです。
そしてその日本語を勉強したい外国の方に日本語を教えるのが日本語教師なんです。
日本語教師として、日本語を勉強している外国人の「学習を促進させてあげる」と言う視点が「誤用」と言う言葉であり、「そこを修正すればもっと良くなる点」と同意義なんです。
ですから、日本語教師は「外国人が一生懸命話している日本語を『間違いだ!』といって責める大人げない奴ら」ではありません(笑い)
日本語教師は、外国人の日本語の誤用を、発見し、原因を見極め、正しく直す知識と技術を持った人達です。
誤用の典型例を「ベトナム語の部屋」で紹介しました。
このような文章でしたね。
◆「おはようごじゃいます」(おはようございます)
この誤用を理解するために必要な知識は「文法」ではありません。この誤用を理解するために必要な知識は「声」どのようにして作るのか、と言う音声学の知識です。 声を作るに為には、方法があるんです。
声帯の振動と口腔、鼻腔のどの場所(調音点)で、肺から送られてくる息を一定の方法(調音法)で使って、音を作っているんです。
例に挙げたこの誤用は、「ざ」を「じゃ」と発音している誤用ですね。この原因は、「歯の裏側の『歯茎(しけい)』と言う場所」で、音を作らなければいけないのに、「歯茎」から2㎝くらい後の「歯茎硬口蓋」という場所で音を作ってしまったことです。
◆「仕事がきちゅいです」(仕事がきついです)
この誤用も、「つ」を「ちゅ」と発音している誤用です。この原因も1つ目の例と同じく、「歯茎」で音を作らなければいけなかったのに、「歯茎硬口蓋」で音を作ってしまった事です。
◆「滋賀けねいてきました」(滋賀けん(県)へ行ってきました)
この誤用を理解するためには文法の知識が必要となります。
この例には間違いが2つ有りますね。1つは「県へ」を「けね」と言っている事。2つ目は「行って」と「っ」を入れなければならないのに「いて」と言ってしまっている事ですね。
一つ目に原因は、ローマ字で書くと原因がわかります。「県へ」はKE(け) N(ん) E(へ) と書きますよね。
NとEを「子音K」と「母音E」として「NE」=「ね」としてしまっているんです。だから「KE N E」が「KE NE」=「けね」となってしまっているんです。
もう1つの誤用、「いって(行って)」が「いて」となってしまっているのは、「行く」という動詞の「テ形」の活用を間違ってしまったのです。
「テ形」と言うのは、「日本語文法」の言い方です。普段なじみの深い「国語文法=学校文法」的に言うと「連用形」です。
「見る」「食べる」など動詞はテ形にすると、「見て」(映画を見「て」、食事をした)「食べて」(ご飯を食べ「て」、薬を飲んだ)のように「っ」は入りません。
でも、「行く」「帰る」の様な動詞は「行って」(行っ「て」きました)、「帰って」(太郎は家に、帰っ「た」)の様に、テ形にすると「っ」が必要になるんです。
国語文法の「5段活用動詞」で「終止形」が「う」「つ」「る」で終わる動詞と「行く」は、テ形にすると「っ」が入るんです。
以上が「ベトナム語の部屋」で書いた外国人の日本の誤用例文に対する回答となります。少し難しいところはあったと思いますが、割とおもしろかったでしょ?
by HIro
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