第26話「3年遅れで目標達成です」
ベトナム語の部屋
こんばんはヒロです。
通じました!わたしのベトナム語が、ベトナム人に通じました。3年目の快挙です!
このベトナム語の部屋の最初の方で「ベトナム語は通じない」と言うことを書きました。
【回想】ボニョニョニョヨ~ん。
私が初めてベトナムに行ったのは2018年で、「技能実習生の採用面接」をするために行きました。そして私が初めてベトナム人を相手にベトナム語を話したのは、採用面接予定の技能実習生候補者に対して、採用企業としての挨拶をしたときです。
私はベトナムに行くに先立って「ベトナム人相手にお話しをする機会もあるだろう」と考えて、ベトナムにベトナム語での挨拶を調べておきました。
挨拶のベースは、当然ですが日本語で行いました。通訳の人が、私の日本語をベトナム語に訳しました。
3分ほどお話をした後、「よし。そろそろ、ベトナム語を話してやろう」と思いました。
よく外国の要人などが、日本でスピーチをしているとき途中で、「日本語でコメントを入れてお話をする」ことがありますよね。私のイメージでは、あんな感じでした。
「このベトナム語で、私への親近感を持ってもらおう」とやる気満々で、私は手元にあった「カタカナベトナム語」を見て、自分の記憶を確認しました。
よし! やるぞ!
「シンチャオ カッ バン」(みなさんこんにちは)
周りにいた皆の反応が止まりました。
「よし。みんな驚いている。きっと喜んでくれるぞ」と、私は次のフレーズのメモを素早く見ました。そして言いました。
「トイ テン ラ オオタ」(私の名前は太田です)
ん? ・・・・静寂が部屋を包んでいます。
きっと、「よほどみんなびっくりしているらしい。日本人がベトナム語を話すとは思ってもいないだろうからなぁ」。
「よし。次は、最後の長くて難しい文だ。・・・ええい。もう、メモを読んじゃおう!」とメモをしっかり見て、言いました。
「トイ ザット ブイ ヅック ガッ バン」(皆さんに会えてとてもうれしいです)
・・・え?・・・・無反応? ?
実習生候補者たちは、普通に私を見つめています。その中の2人3人は、小さく互いに目で探り合いをしています。
・・・・2秒後、送り出し機関の社長さんが「おおっ!」と、感嘆の声を上げました。
社長さんは、少し変な敬語を使いますが、通訳の人よりも日本が上手です。フンさんは、その日本語力と経営者の感で理解したんだと思います。
「今の変な言葉は、日本語ではない。きっとベトナム語を話したつもりなんだ。これは感心するところだ。ヒロさんのご機嫌を損ねてはまずい!」
そこで大きめの声で、笑みを浮かべ「おおっ!」。
通訳の人も自社の社長の意図を察したらしく、ベトナム語で「私のベトナム語」を訳し、実習候補者たちに伝えました。たぶん「太田さんは、なんかベトナム語で挨拶したみたいだよ。『太田です。こんにちわ。』とか言ったんだと思うよ」みたいことを。
実習候補者も、うなづいて、やっと笑顔になりました。
ベトナム語は通じませんでしたが、私の気持ちは通じたみたいです。
私は、笑顔で固まったまま、すべてを悟り、挨拶を締めました。
半年後、彼女たちが実習生をなって日本に来た後にもベトナム語を話しました。
「カム オン」(ありがとう)でさえ、何度挑戦しても通じませんでした。
この時点で私のベトナム語歴は、半年なんですが、ダメでした。
「チャオ タン ビット」(さようなら)は、何とか通じました。でも、言う度に修正されました。
年中「さよなら」「さよなら」ばかり言ってはいられないので、私は「貝」になってしましました。 ぼよよよよ~ん【回想終わり】
でも、通じたんです。
2021年の11月初めから「日本語識字教室」というところで、日本語を教えるボランティアを始めました。そこに、グエンさんと言うベトナム人の技能実習生がいます。彼にベトナム語でお話をしてみました。
「こんばんは。私は太田です。日本語教師の資格を持っています。」といきなり話しかけました。グエンさんは、ビックリして2度見をしました。そして満面の笑みを浮かべました。
「ベトナム語を話せるんですか!?」とグエンさん。
「はい。話せます」と私。
通じました。私のベトナム語が通じたんです。
やっぱり日本式の英語学習法である文法訳読法から、ヒアリングとシャドーイングを中心とした学習に変えたことの成果です。すごくうれしかったです。
その後も、彼に会う度にべトナム語を話します。ほぼ9割は通じています。
グエンさんは結構日本語が上手です。日常会話ならばほぼ話ができます。ですから、グエンさんの日本語レベルと相まって私の日本語が通じている可能性もありました。
でも、大丈夫でした。
2週間前から新しいベトナム人の人が識字教室にやってきました。タインさんです。
タインさんも日本に来て3年目なんですが、日本語は片言です。
一人で日本で暮らすことは困難なレベルです。
この彼に、私のベトナム語が通じました。
いきなり、私が本の内容をベトナム語で解説したんです。
「そのコトバは、友達に対して使う言葉です」って。
教科書を見ていたタインさんが、ビックリして顔を上げて、私を見ました。
そして嬉しそうに笑いました。
通じました。相手の日本語レベルとは無関係に、私のベトナム語が通じています。
本当にうれしかったです。
それに、日本人が自分のお国の言葉をしゃべった時のあのうれしそうな顔を観られたのが、最高でした。
もともと私がベトナム語を勉強し始めた動機は、うちの会社で働くベトナム人技能実習生を安心させたいと思った事なんです。
3年来私が見たかったベトナム人技能実習生の笑顔を見ることができました。
3年遅れで、ベトナム語学習の第一の目的達成できました。
次の目標は、「日常会話をペラペラになる」です。
これからも頑張って、ベトナム語の勉強をしていきます。
By Hiro
“第26話「3年遅れで目標達成です」” に対して1件のコメントがあります。