第29話「卵で解る言葉のリズム」

ベトナム語の部屋

こんにちは。ヒロです。大変ご無沙汰しています。なんと2カ月ぶりの投稿です。

サボっていたわけではないんですが、ご無沙汰をしてしまいました。

この期間も、ちゃんとベトナム語の勉強はしていました。

コロナの終息の見通しが付き、ボランティアに行っている識字日本語教室も5月中旬から再開しています。外国人の日本への入国数も広げられ、それに伴って、識字教室への参加者が増えてきました。6月に入ってからは毎週3人くらいづつ増えていて、今では15名くらいの人が勉強に毎回やってきています。

その中で私は、ベトナム語を少し知っていることもあって「ベトナム人専任教師」になっています。私の行う教授法は、直接法=ダイレクトメソッドなのでどこの国の方でも問題は無いのですが、私としてもベトナム語の勉強ができるのでベトナム人専任はありがたいです。

識字教室では、新しく参加してくる人には、少し自己紹介をしてもらいます。参加外国人の人は当然ながら日本語は上手ではありません。ですので自己紹介の内容の主なものは、自分の名前です。でも、この名前が曲者なのです。

参加者がいっぺんに5名くらい増えた日は、参加者が日本人であったとしても名前を覚えるのは大変なのに、外国人の名前であれば、聴き慣れない名前なので覚えるのが余計大変な状況になってしまいます。

聴き慣れない名前に加えて、なんと言っているのかが聞こえないのです。

私の場合には、ベトナム人の人の名前であれば、ある程度の知識がありますので「グエンさん」「ハインさん」なんだな、と理解できます。

でもその他アジアの国の人に関しては、聞こえない音がほとんどなんです。

インド人の人に関しては、ほぼ全滅です。

でも、あら不思議! ベトナム人の人には聞こえているらしいのです。

どうしてだと思いますか?

答えは、母語言語の持つ音節の違いなんです。

音節(おんせつ)と言うのは、纏まって発音され、まとまって聞こえる音です。母音を中心とする音の塊です。

日本語の音節は、「五十音表」にある、カナ一文字の音の塊です。「あ」「か」「ん」と言う一つ一つの音です。拍(はく)と言います。これは日本語に特有の音節なんです。

つまり日本語の音節は、

①子音+母音  :K+A  か

②母音     :A I U E O あいうえお

③子音           :N   ん(子音だけの音節は「ん」だけ)

で構成されています。

これに対して外国語音節は、「語頭子音+母音+子音」で構成されていることが多いのです。

例えば、

英語でskateは「1音節」ですが、

日本語では「ス」「ケ」「―」「ト」となり、「4音節」なんです。

また、ベトナム語ではNguyệnは「1音節」なんですが、

日本語では「グ」「エ」「ン」となり「3音節」なんです。

理屈の話ではないんです。日本人は日本語の音節として「音」を認識しているんです。

日本人は、skateは「ス」「ケ」「ー」「ト」と、「Nguyện」は「グ」「エ」「ン」と発音してくれないと認識できないんです。

Sksteを「スゥケェーツ」、Nguyệnを「ゥグゥィエン」と、一塊の音(「あ」、「か」と同じ単位)として発音されると、文字として意味を持っている音とは認識でないんです。

「スゥケェーツ」、「ゥグゥィエン」という音が五十音表の中にないんです。

別な言い方をすれば、ネコの「ニャ~ン」やカラスの「クワー」と言う音に意味をとらえることができないの同じなのです。

「ベトナム語を日本語としてして聞いている事」が、私が聴解と会話が下手な最大の原因だったのです。

これと逆のことが、ベトナム人には発生しています。

日本語の五十音のリズムが、ベトナム語では意味のある音ではないのです。

識字教室に来ているベトナム人の人に質問してみました。

「あなたが自己紹介をしたときに、あなたの名前が日本人にちゃんと伝わってますか?」

答えは「いいえ」でした。ベトナム人の彼はいつも「自分の名前が日本人に伝わらない」と思っていたそうです。

その答えを先週の授業で教えました。これを教えるときに使ったのが、

「リズム卵」という図です。これは私が考えたわけではなく、ベトナム語に詳しい何処かの偉い先生が考えたものです。

この卵は「1個」で一音節、つまり発音される一塊の音です。

そして日本語の卵は横に2分割されています。

その半分の左側には子音が入り、右側には母音が入ります。母音だけの卵ならば、卵の右側にAIUEOだけが入り、子音だけの卵ならば(つまり「ん」)卵の左側にNだけが入っている。つまり卵に入る音は、最大で2つまでです。

これに対してベトナム語のリズム卵は4分割されています。まず横に上下に2分割。下の半分は、さらに3分割されています。

上半分は「声調」が入ります。下の半分の一番左は「語頭子音」、真ん中には「母音」、右側には「語末子音」が入ります。

Nguyệnはベトナム語のリズム卵1つの音で、日本で「グ」「エ」「ン」と言う3つの卵になるんです。

逆に日本語の「な」「ま」「え」と言う3つのリズム卵は、「ナーメェー」と言う1つのベトナム語のリズム卵になるんです。

言葉で説明すると少しわかりにくいんですが、図にすると大変に分かり易いです。

そして、ベトナム語における「ナーメェー」という音、日本語の「グ」「エ」「ン」と言う音は、ベトナム人にも日本人にも「意味のある音ではない」のです。

だからお互いに、通じないし聞こえないんです。

と言うことで、ここから導かれる結論は、

聴解と会話ができるようになるためには、リズムと発音を徹底して勉強する事、と言うことになると思います。

私も、今、識字教室に来ているベトナムの人に一生懸命習っているいます。

ベトナムに渡航できる日も近づいてきています。発音練習頑張ります。

 

つづく第30話「バブバブ。0歳児になりました。ばぶ」

Hiroでした。

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