【KAIZEN8】HKMはなぜ必要かⅢ
今回のお話:「既存の問題解決手法は身に付かない」➡「身に付かない原因は頓挫するからだ」➡「頓挫原因を突き止めて原因対策をしているのがHKMだ」。
目次
2)身に付かない理由はなんだろう
物事には必ず理由があります。では身に付かない理由は何でしょうか?
理由は、問題解決活動が、途中で頓挫し、活動が完結しないからです。
問題解決活動は、「できる人は簡単にでき、できない人にはできない」のです。できる、できないは、頭の良し悪しでは成りません。知識の有る無しでもありません。
一言で言うと「完結の仕方を学んでいる」かどうかの差なのです。
「学び」は体験によって多く起こります。改善活動を「完結した」と言う経験がないと、改善活動を完結させることについての学びは起こりません。つまり問題解決活動ができるようになるかどうかは「問題解決活動を完結させたかどうか」と言う「経験値の差」なのです。
解決活動の「完結経験」といってもレベルの話ではありません。
つまり「完結した」と言っても活動が優秀であったから完結する、と言う事ではないと言う事です。 活動が完結するケースは2つ有ります。1つのケースは、「問題解決手法をきちっと理解していて、且理解したQCSの各ステップをきちっと実行できたから完了する」ケースです。もう一つは「問題解決ストーリーの各ステップは半分もできていない。そればかりか問題解決ストーリーの順番でさえ100%覚えていない」のに活動が完結するケースです。後者の方が圧倒的に多く存在しています。(注1)
「理解できないことを完結なんてできるのか?」 また、「完結したところで意味があるのか?」 と考えたあなたは頭の良い方ですね。そのようなあなたは、HKMを知らないで活動をしたら、多くの場合は頓挫します。真面目過ぎるのです。
「理解できないスキルを完結する」ためにはどうしたらよいのでしょうか。それはとても簡単です。自分で一応考えて、解らないところは適当にごまかして、終わらせる。これらが正解です。大雑把でお気楽♪でしょ? 大事なのは「一応自分で考える」「活動を完結させる」「その活動を繰り返す=経験を積む」事です。活動を頓挫させないことが重要なのです。
また、改善手法を理解できないままに完結したしたkaizen活動にも大いに意味があります。「完結させたと言う以外に特に意義の無い」改善活動をした人たちのその後を少し考えてみましょう。
問題解決活動ができるようになった「大雑把でお気楽♪で人たち」は、活動のレベルは置いておいて、ともかく活動を完結させた数少ない人達なので、次回の活動ではリーダーとなります(【図1】で示した通り社内QC活動を誰もやりたがらないし、その活動リーダーに何らの価値を見出していないので、どんな人がリーダーになってもだれも反対しないのですんなりリーダーになれる)。
リーダーになると改善活動を指導する立場になりますので、少しだけ物事を考えるようになります。でも根が大雑把でお気楽♪な人なので、今回も活動は誤魔化しながら完結する事になります。その実績が買われ次回でもリーダーになります。そしてリーダーとしての経験を積みながら多くのグループを指導するようになります。彼ら彼女らは、ますます「完結の仕方を含めた、Kaizen活動」の経験値を積み上げることになります。彼ら彼女らは大雑把でお気楽♪なんですが、決してバカではありませんので10年も経つと係長や課長になっています。役職の大小は多くの場合は問題解決能力の大小に比例するからです。
この妄想には、現実味がありませんか。
これは私の、私の部下に関する実話です。例外的な事例ではありません。私の部下のほとんどはKaizen活動のリーダー経由で係長、課長になっています。
1歳の子供も1年経てば2歳になります。1年間ご飯を食べ、遊んでいながら「学び」ます。走ることができるし片言のお話もするでしょう。育つこと、学ぶこととは、「力をあらたに身につけ、その身につけた力を使って、あらたな世界を広げるということ」だそうです。不完全な問題解決活動でも数を重ねれば「学び」があり、「解決能力」も育ちます。できることが増えます。今まで理解できなかったこともだんだんとできるようになってきます。2回目より3回目、3回目より4回目の方が、能力が高くなっていくのです。
お気楽リーダーよりもレベルの高いkaizen活動をしても途中で頓挫していたら、kaizen活動をやりきると言う経験を積むことができないのでkaizenに関する学びは起こりません。つまり身に付かないのです。
頓挫する真面目な方は問題解決の「知識を勉強し」、お気楽なリーダーは問題解決「スキルを学ぶ」と言う事もできると思います。
次回のお話:「既存の問題解決手法は身に付かない」➡「身に付かない原因は頓挫するからだ」➡「頓挫原因を突き止めて原因対策をしているのがHKMだ」。
(注1):一概には言えないと思いますが、私の経験的には前者が全体の3%程度、後者が全体の10%程度であるとの感覚を持っています。前者は企業内の「改善活動担当」であるか、「担当のようなもの」である場合が大変多いのが事実です。
つづく