第6話「”フォー”を食べることはできません」

 

感心しました!

ベトナムって、バンドエイドや薬がバラ売りされているんです。

お昼ご飯を食べに行ったんです。フォーを。

ちなみにフォーはベトナム語でphởと書きます。

フォーはベトナムの代表的なお料理です。日本でも最近はフォーを食べることができるお店が増えてきましたね。

ベトナムではフォーを頻繁に食べます。或る日ベトナムで行ったフォーのお店はプレハブ造りで、床が50㎝くらい地面から上がっているんです。ですからそこには階段が一段ついている(ブロックのような石が置いてある)んです。つまり、下から、「地面」「階段」「床面」という構造になります。でもそこには問題がありました。それは地面から階段の高さと、階段から床までの高さの違いがあったことです。

日本の感覚で「均等な高さの階段」を上るようにすると、2歩目が床面まで届かず、床に足を引っかけてしまいます。ヒロさんはそのため床に足を引っかけて転んでしまいました。

「ドンッ」と大きな音が、プレハブ(プレハブとはいっても結構大きくて20畳くらいはある)全体に響きました。

痛いっ、と思いながら立ち上がったんですが、その時他のテーブルに座っていた人たちが私を見ていました。「大丈夫?」的な雰囲気でしたので、私が「どうもお騒がせをしました」と言う意味を込めて笑顔で頭をペコリとしたら、みんなも笑顔になってうなずき返してくれました。

「アジア人は通じあうんだな」と思いました。

その後、フォーを食べて、店の外に出て、打った脛を見てみると(それまではいたかったんけど我慢していた)、「高さで1㎝、幅で2㎝くらい」すりむけて血がにじんでいました。その傷を見た一緒に食事に行った現地の会社の人が、直ぐ近くにあったお店(薬局には見えない)に入って行って傷薬(軟膏)とバンドエイドを買ってきてくれました。

塗り薬は、箱には入っていない、チューブむき出しのもので、バンドエイドは「2枚」でした。

なんと!バンドエイド、ばら売りしてるんです。

これは合理的で良いなぁ、と感心しました。日本でも外出中にバンドエイドが必要にある時がありますよね。その時、本当は1枚2枚で良いのに、日本では箱ごと(最低でも30枚くらい入ってる)買わざるを得ません。買った後、その箱が邪魔になって邪魔になって。もったいないんで捨てるわけにもいきませんので。

ちなみに日本でも最近ベトナムに追いついてきたかもしれません。ほんの1週間くらい前に外出中にバンドエイドが欲しくてコンビニに入りました。ファスナー付きの平べったいとうめいのビニュール袋に8枚くらいバンドエイドが入ったものが売っていました。平べったいビニュールでしかも枚数が少ないのでかさばらずシャツの胸ポケットに入れても何の邪魔にもならない優れモノでした。

「 Phở」の話をします。そうしないと今回のベトナム語の話の題名が「バンドエイドばら売り考」にした方が良くなってしまいますので。

ベトナム語のアルファベットでは「F」は使いません。代わりになるのが「PH」です。ですのでPhと言う子音の発音は「F」と同じです。ほらほら昔英語の時間に先生が言っていたでしょ?

上の歯で下唇をソット噛んで出す、あのFの音です。難しいやつです。

さらに難しいのはPhở の「ở」の音の出し方です。

Ơは母音の「お」です。Oの横にある角みたいな記号は「ホーン記号」と言います。このホーン記号のあるOは、口を横に開いて、少し上の歯を見せるように少し笑っている感じで出す音です。

普通の「O」「お」は、口を「丸く」して出す音です。しかし口を丸くしないで「お」と言うんです。

でもフォーのởの発音はそれだけではないんです。みなさんも、すでにお気付のとおり、頭にクエスチョンマークの様な、ひらがなの「つ」のような「う」の上のチョンが無いような、記号が付いています。

声調記号です。

この声調記号の表す「声の調子」は、「いったん声を下げて、すぐに元に戻す」調子です。

例えて言うと、「これ、お前やったの?」と聞かれて「ううん、やってないよ」」と返事をするときの

「ううん」の調子です。

これ等ができてやっとPhởの音になるんです。

ヤバいでしょう?

と、そういう訳でみなさんがベトナムに行ってフォーを食べたいと思っても

ぜったいに注文できません!

なので皆さんは、ベトナムでPhởを食べることはできません(笑)

日本語的に「フォーをください」と注文したら、全く別な食べ物が出てくるかもしれません。

おーコワ!

(でもたぶん、メニューを指さしたり、ジェスチャーをしながらフォー、フォーと言えば、大丈夫だと思います)。

*すみません。ウソを書きました。上の(でも、たぶん・・・・大丈夫だと思います)の部分を訂正します。

昨日見たユーチューブの動画で、女の人が列車でベトナムを旅するものがありました。その人は、フォーが食べたいと思い食堂車に向かいました。メニューを指さしながら「フォーが食べたい」とルー大柴的な英語でメニューを指さしました。「何を注文したのか」がベトナムの人に通じなくて、その女の人とベトナムの食堂車の人が話し合っていました。話し合いの結果「フォーは売っていないみたいです」とその女の人は視聴者に説明しました。

これは、揚げ春巻き。ネムザンです。ネム=春巻き。ザン=油で揚げる。 ニョクマムで味を調えた、少し酸味のきいたタレにディップして食べます。

結局その女の人は、出された(多分その女の人は自分が何を注文しているのか理解していなかったと思います)「ネムザン」を食べました。でも食べている途中に隣の席の人にフォーが運ばれてきました。それを見て、その女の人は「な~んだ。フォーあるじゃない」と言っていました。

ということで、メニューを指しながら「フォー」と言っても、「フォーは食べられない」という結論を得ることができました。

 

つづく

By Hiro

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